オーバーレブ!回顧録
横山峠の封鎖を描いている時に・・・
これまで、「オーバーレブ!」の屋台骨だったカーアドバイザーさんが去って行きました。
以前、書いたように編集さんの間違ったクルマ用語の解説を載せたことや、雑誌内での「オーバーレブ!」の扱い方とか、金銭面とか、編集部に対していろいろと不満を抱えていて、小さなことから大きなことまで何だかんだとトラブルが絶えずf(^ー^;編集部としては、手に負えなくなり…
そして
ついに「オーバーレブ!」から離れていくことに…
そんなカーアドバイザーさんと自分もモメたというか…討論になったことがあります。
アイカのEG6についていたサンルーフです。
連載開始当初、アイカの乗るシビックはこれだと渡された資料には、サンルーフがついたモノでした。
クルマ素人だった自分も気にもせずにサンルーフ付きのEG6を描きました。
ストーリーが展開していくにつれアイカのキャラクターが立っていき、走りにストイックな女。走る小姑。速さ、コントロールに対して強いこだわりを持つキャラクターと成長していきます。(そんなキャラクターになっていったからトラックでのドリフトの登場は、あり得ないと悔やまれるファーストインプレッションになったのです。)
そして…アイカのタイマンバトル編。
アドバイザーさんは、この際 サンルーフを消しましょうと主張しました。しかし…レースと言ってもタイマンバトルというイベントのためだけに、レーサーでもない運送業のアイカがサンルーフを取るという理由でクルマを買い直すのは現実的ではない。と
この論争です。
アドバイザーさんは、サンルーフがついていたら絶対にレースで勝てない。マンガだから勝つように描くんだろうけど、実際にレースをやっている人間がそれを見たら嘘くさいと笑うだろう。せっかくついたファンを手放すことになりかねない。と言うことでした。
対して自分は、お金がないキャラクターにそこまでやらせるタイマンバトルの意味がわからなない、本末転倒。アイカが勝つために制作側のミスをキャラクターに背負わせるのはいかがなものか?サンルーフというハンデがあるにも関わらず勝利する、そっちの方がマンガ的には面白いと思いますが…という意見です。
レースの世界を知らないからそんな絵空事をいえるんだ!レースというのはコンマ何秒を競うものだ。何十キロもある重たいサンルーフはもはやハンデを通り越し、罰ゲーム状態。それでアイカが優勝なんて描いたら出場者はカスばかりと言ってるようなもの!
サーキットは峠と違ってシビアなんだ…
アドバイザーさんのいうことは、理解できるがやはり買い直すとかは、やり過ぎだろうと思い…結果、サンルーフを除去する打開案がマンガになっています。
サンルーフ事件の顛末でした。
この討論は、マンガを描いている最中の仕事場で巻き起こったため
アシスタントさんたちも討論に加わっていますf(^ー^;
アシスタントの一人、六甲のタケルのモデルとなったタケル(名前もまんま、髪も…?)が
タケル「俺がすげぇクルマ好きでレースに出るっってなっても、サンルーフは取らねっすよ!先ずそんな金がないし、だいたい、サンルーフなんて・・・クルマに興味ない俺に言わせたらただの四角い枠ですよ!俺らが描いてんのはマンガなんですから、夢物語でもサンルーフ付きで勝った方がおもれ~っすよ!」
アドバイザー「じゃ、キミは何か?勝つためにクルマが空を飛ぶ絵を描いて読書が満足するとでも言うのか!」
タケル「俺なら…それでマンガがおもしろくなるなら空だって飛ばしますよ!サンルーフを退けるの退けないのって話しをマンガで読みたいワケじゃない!いかにアイカがハンデの中で戦うか、それが見たいんすよ!俺らはマンガ屋ですよ!走り屋じゃない!」
クルマ論とマンガ論のぶつかり合い。
熱い、あつ~い夜でした。
その場に編集さんも居たのですが、編集さんは「オレ、クルマに興味ないからさ。勝手にして。それで、方向性が決まったら教えてね」
一人、蚊帳の外でしたとさ。
山口かつみ